2009/08/27

インド紀行7

再び火葬について

初めて火葬を見た時にはかなりの衝撃を受けたけれど
見続けることによっていろいろなことを思い
またいろいろなことが麻痺していった

魂は永遠
肉体は借り物
肉体が燃やされ魂が浄化される
燃やされた灰は川へ流される
それを魚が食べる
その魚を人間が食べる
それによって魂は再び別の人間に宿ることができる
それがリーンカーネーション(輪廻転生)だとインド人は言っていた

死体はいつから人間ではなくなるのだろうか
いつの瞬間魂が抜けるのだろうか

少なくともガンガーに浸される時には
死体は丁重に扱われていた

けれども火が入ると
それはもう物として見なされているように感じた

布にくるまれさらに薪に囲まれているので
燃やされても体の部分は確認できないと言われたけれど
実際はそうじゃない

天に向かって突き上げるような手
薪の間からぬっと出た足
黒く焦げた頭

薪が燃えていくにつれて
炎の中に「人」の姿が見えた

けれども火葬場の人間は
それを薪と同じように扱う
よく燃えるようにはみ出た足は棒で叩いて折って
薪の中につっこむ
頭も棒でたたいて燃えやすくする
その時に脳のような液体が飛び散った
誰も気にしない
家族さえも
まるでそれが当たり前のように

3時間経っても燃え尽きないことがある
多分腰の部分だと思うけれど
それはそのまま灰と一緒に川へ投げ込まれる
川の中には網を持っている人が何人かいて
その灰を漉して何かを探している

何とも言えない気持ちが去来する
けれどもその場から立ち去る気にはならない

僕は小さい火葬場のハリシュチャンドラガートでずっと見ていたけれど
大きい火葬場のマニカルニカーガートは本当に大きかった
けれども小さい火葬場の方が僕には合っていた

火葬するには薪代だけで2000〜3000ルピーかかるそうだ
日本円でいうと5000円から7500円くらい
センターサークルと呼ばれる場所では高貴な人が燃やされる
そこはさらに費用が高いらしい
僕は一度だけそこで焼かれるのを見たけれど
まだ幼い子どもが火を入れていた

聖地バナラシで火葬されることはとても幸せなこと
だからインド中から死体が運ばれてくる

ただ2000ルピーというとインドでは大金だ
貧富の差が激しいので
本当に貧しい人は一生かかってもそこまで貯められない
だから火葬場の近くには施しを求める人がいる
「自分は火葬場で焼かれたい
だから薪代を今から貯めている」
という人がいた

その人はきっと
自分の死の瞬間のためだけに
今ある生を過ごしているのだろう

最初それを悲しいと思ってしまったけれど
それはきっと僕のエゴなんだろうな


本当にお金のない人はここで燃やされる
現地の人はエレクトリックファイヤーと言っていた
日本の火葬場と同じなのかな
費用は安いがここはあまり使いたくないとのこと

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