2009/08/28

インド紀行8

今回は火葬以外の葬儀について

火葬するのは魂を浄化するためだけれど
浄化の必要のない人たちは火葬しない
それには6種類あると言っていた

「5歳以下の子ども」
「妊婦」
「顔に斑点のできる皮膚病で亡くなった人」
「コブラに咬まれた人」
「サドゥー(出家した人)」
「自殺した人」

5歳以下の子どもはまだ純粋だからと言っている人もいたし
経験を積んでいないからと言っている人もいた
同様にその子どもがお腹にいるという理由で妊婦も火葬しない
皮膚病で亡くなった人はどうして火葬されないのか分からない
(火葬した方が病気が蔓延しないと思うけれど)
コブラはシヴァ神の使いなので
それに咬まれるということは神に選ばれたすごくラッキーな人なのだそうだ
サドゥーは俗世間を捨てて聖人になった人だからこれも浄化不必要
自殺者も何で火葬されないのか聞きそびれた
ただ僕にいろいろ教えてくれた人は自殺はインドではほとんど無いと言っていた

このことを帰国してからエスさんに話したら
何でインドでは自殺者がいないんだろうねと聞かれ
僕も分からなかったので調べてみたら
いないどころか農村部での自殺者数はここ10年増えているそうだ
凶作や貧困が主な理由で
「輪廻転生を信仰しており、知識の少ない農民が自殺することが今生の苦しみから解脱する唯一の早い道という考えをもたらしている」
とのこと
都市部の人たちはそんな実情を知らないのかな

僕は火葬以外の方法で一度だけ葬儀が行われるのを見た
火葬場にいると賑やかなブラスバンドの音が聞こえ
お祭りでも始まるのかなと思っているとあっという間に人だかりができた
誰かがサドゥーが亡くなったんだと教えてくれた

サドゥーがガンガーに浸される
顔に何度も水をかけられ
ピンク色のビンディが水でにじみ
お化粧をしているようですごく安らかな顔をしていた
周りにいる関係者は千鳥足の泥酔状態
白い布を纏った代表の人が
シヴァ神殿からの炎を手に持ち
死体の周りを5周する(5というのは火とか水とか5つのエレメントの数)
それから死体は大きな1枚岩にくくりつけられ
家族とともにボートに乗せられる
再びブラスバンドが旅立ちを祝うように再び演奏を始め
ボートはどんぶらこどんぶらことガンガーの中央へ
サドゥーが水に沈められそれとともに大きな歓声が巻き起こる
家族の何人かは一緒に川に飛び込み
泳いで帰ってきていた

サドゥー以外でも火葬されない人は
同じように岩にくくりつけられて川に沈められる
ごくまれに岩から外れて死体が浮かび上がってきてしまうそうだ
(僕も一度だけ死体らしきものが流れていくのを見た)
川に沈められた死体は勿論魚が食べてしまう

サドゥーになるためには特別な儀式がいるわけではなく
「俺今日からサドゥーになるわ」って自分が決めたらすぐサドゥーになれるそうだ
俗世間の全てと縁を切る訳だけれど
僕が見た亡くなったサドゥーの周りにどうしてあんなに家族がいたのか
どうして家族が彼の死を知ることができたのかは疑問だった

前にインドに行った時に北の方でこのサドゥーと言われる人と一緒に洞窟で過ごしたことがある
北の方では魚もほとんど食べないらしく
川で大きな魚が飛び跳ねていてそれを覗き込んでいると
一人のサドゥーがやってきて何やらお祈りをして僕の額にビンディをなすりつけ
花を喰わせ
お金をよこせと言われた
そんな詐欺まがいの出会い
一緒に生活したら生活したで
町に行って煙草を買って来いとつかいっぱしりにされたりしたけれど
ご飯も作ってくれてそれはそれで良い経験だった
(お腹は壊したけれど)

彼らの中にも段階があって
その人は「ババ」と言っていたけれど
「グル」というのもあるそうだ
それも自分で勝手に決めているらしい

出家したと言っても
物乞いと同じような生活を送っていたり
旅行者をだましたりする人もいるようで
サドゥーの定義は曖昧だけれど
他の人たちからは一定の敬意は得ているようだ

(ガートの近くにいたサドゥー
写真撮影を快諾してくれた)

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