2009/08/26

インド紀行6

ゲストハウスの屋上でマスターと話をしたり外を眺めたりしていると
「ラーマ ナーマ サット ヘイ」
というかけ声が外からよく聞こえた
部活動のかけ声のように
一人が言うと
大勢が後に続いて同じことを言う

何のかけ声かというと
死体を運んでいるかけ声
下の写真のように何人かで担いで火葬場まで運んでいく
(他にもリキシャーにくくりつけたり
車で運んでいるのも見かけた)


運ばれた死体はまずシヴァ神殿に1日安置される
その後で家族が火葬場まで運び
ガンガーに浸す
布にくるまれているので本当にそこに死体があるのかはにわかに信じられなかった
全身をどぼんと浸ける場合もあれば
顔だけに水を掛けている場合もあった
顔に水を掛ける時に初めて布がはがされそこには安らかな人間の顔を見ることができた

その後
薪が組まれている上に死体が置かれ
さらにその上に薪が組まれていく
よく燃えるように黒い炭の粉が振りかけられ
さらに匂いを消すためサンダルウッドの粉が無造作に振りかけられる

剃毛し白い布を身に纏った家族の代表一人が
シヴァ神殿で何百年と燃え続けている炎から火を分けてもらい
それを薪に移す
そうして火葬が始まる

一人が完全に燃え尽きるまでに3時間程度
その間家族はじっと見つめている
他の人が見ていても別に何も言われないが
近くから写真を撮るのは禁止
「ノーフォト」と言われる

初めて火葬を見た時に
「あれは私のじいさんだ」と言う人に話しかけられた
自分の家族が燃えている様を興味本位で他人に見られることは
僕だったら複雑な心境だろうけれど
インド人の感覚は違うらしい

レストランのマスターに
火葬されることは幸せなことで悲しいことではないと聞いていたので
その僕と同じくらいの歳の孫に
「悲しくないのか?日本人なら多分泣くで」と言うと
その人は
「うちのじいさんは飲み過ぎで死んだんだ
おれたちはみんな疲れてるんだよ」
と笑って言っていた
僕が尋ねたことがよほどおかしかったのか
他の兄弟にも笑いながら僕とのやり取りを話していた

その兄弟の長兄はインターナショナルスポーツプレーヤーだと言うので
何のスポーツか尋ねると
「カバディだ」と言われた

「知ってる知ってる
カバディカバディって言い続けるおにごっこみたいなやつやんね?」
『日本でも流行ってるん?』
「いや日本でやってる人はあまりいないわー
ただそのスポーツを知っている人は結構いると思うで・・・」

他にもインドをどう思うのか?
日本の技術とインドの技術についてどう思うのか?
などについて家族と一緒に談笑した

目の前ではおじいさんが燃えている

3時間たって全てが灰になり家族は僕に手を振りながら帰っていった

火葬には女性は来ない
女性は泣くから
やっぱり人が亡くなるということについて
悲しいと思う気持ちは共通なんやと思いながら
初めて僕が見た火葬は終わった
それから3日間僕は火葬場に通った

火葬を遠くから写したもの
遠くからなら良いらしい

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