2009/05/28

ハプニング



ヴィレッジが良かったので
気になっていたこちらも見ました
飛び降りる 猛獣の檻に入る 芝刈り機の中に入る
文明社会においては自分の身の回りにこれだけ命を絶つ方法があるのかと改めて思いました

2009/05/18

ドキュメンタリィ

ビロードのカーテンが裾を引きずりながら開閉される様子は
物乞いの老婆が通りを歩いている姿を想像させた

そこは小さな映画館で
観客は一人だけ

これからスクリーンに映し出されることを何一つ見逃さないと
私はしっかりと目を見開いている

しばらくすると
照明がゆっくりと落とされ
館内は暗闇に包まれた

目が少しずつ順応していく

やがてぼんやりと絵が浮かび上がってきた
派手な色のスカートを履いた尻の大きい年増女が
同じような派手な色の花に顔を突っ込んでいた

花が大きすぎるのか
それとも女が小さいのか
それは不思議な光景だった

女が花に顔を突っ込むとしばらくして花はしぼんでいった
そうすると女は別の花に移動する
驚くことに花から花へ移動するたびに
女の体は若返っていってるようだった
そう足取りも蜂のように軽やかに

女が少女くらいの歳になると
画面は引きの映像になっていった

花畑のあちらこちらを様々な年齢の女たちが飛び交っていた
画面はゆっくりと白さを取り戻した


ミツバチが姿を消したというニュースを聞いたのを思い出した
あの女たちはそれに何か関係があるのだろうか

僕は席を立ち映画館を後にした
外は大きな花々がここぞとばかりに咲き誇っていた
振り返ってみるとさっきまでいた映画館はただのガラスの箱になっていた

僕はおもむろに一つの花の中に顔をうずめ
そして泣いた
生まれたばかりの赤ん坊のように

僕の体はどんどん小さくなり
僕はそこで考えるのをやめた